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エイプリル・フールの嘘だとおもいたかった。

きのう病院より連絡があり、自発呼吸が弱くなっているため、呼吸器をとりつける、とのこと。

病室に向かうと、母は、きのうと変わらずのどをぜろぜろ鳴らし、すこしでも多くの酸素を得ようと体をのけぞらせていた。
眉間はきつく皺が寄り、目尻には大粒の涙が、唇は荒れ血が乾いてひび割れた大地のようになっている。

しかし、ベッドを取り囲むように設置された経管栄養の管、酸素吸入の管、痰吸引の管、心電図の管が、きのうまでの世界とは絶対的に異なる禍々しさを醸し出していた。

ナースに、家族以外の面会をどうするか尋ねられ、できるだけ会わせてやってほしいと答える。
しかしその願いが叶えられるか否かは、その日の母の体調次第となる。

けさ過呼吸で倒れそうになったのはわたしであって、母ではない。
母ならば駆けつけてくれるのは薄桃色の制服を着たナースで、ダークカラーのビジネススーツを着たサラリーマンではない。
そして母ならば、手を握って枕元に寄り添う娘がいるけれど、わたしはたった一人で起き上がらなければならない。
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post time: 22:31, category: 日常, author: ナカムラユエ

わたしの人生のうち、どこまでが嘘で、どこからがほんとうなのだろう。

ずっとわるい嘘にだまされて生きているような気がする。

未来というのはほんとうにあるのか。
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post time: 22:08, category: 日常, author: ナカムラユエ